ISO14001認証取得企業に聞く


勉強期間が何よりも“財産”となった

-株式会社光文社-


(株)光文社・本社ビル
 全日本印刷工業組合連合会/労務・環境委員会(佐々木毅委員長)では、平成15年11月より、短期間かつ低コストのISO14001認証取得支援事業(環境経営印刷ネットワーク)を実施している。今回、早くも開始4ヶ月目にして第一号の認証取得企業が誕生した。取得企業である(株)光文社に取得に至る経緯や取り組み状況を聞いた。

■環境経営印刷ネットワークとは
 全印工連が、日本電気(株)、(株)トーマツ環境品質研究所と協力し、平成15年11月より第1期19社、平成16年2月より第2期19社、同年5月より第3期10社を募りスタート。インターネットによる社員教育からネット審査までを可能とした短期間・低コストのISO14001認証取得支援事業である。

■(株)光文社の紹介
 当事業にてISO14001認証取得した(株)光文社(佐々木毅社長/東京都港区)は、創業昭和31年。従業員16名。CTPによる出版印刷・新聞・雑誌・書籍などの印刷から最新の製本設備・納品に関する一環システムを導入。
 今回の取得事業に際しては、佐々木社長のほか、現場責任者・佐々木徹、営業・佐々木肇の両氏が環境管理責任者、実務担当者にそれぞれ選任され取り組んだ。(認証取得3月19日)

■環境問題への取り組みは社会への責務
 同社がISO14001認証取得事業に取り組んだのは佐々木社長が全印工連/労務・環境委員会委員長という立場だからというわけではない。平成12年、現在の地に新社屋を建設した時点で社会に対する環境的配慮の重要性と社会への責務を再認識。社員への意識改革の必要性も強く感じていた。得意先も官公庁、自治体、大手企業の割合が高く、データ入力から納品までの社内一環システムは、これまでも機密漏洩対策の面で評価を得ていた。それだけにヤレ紙一枚の取り扱いについても顧客からの要望は厳しくISO14001認証取得は必須であった。

■取得事業に参加して
 事業を開始するにあたり、事前のキックオフ説明会に参加した。eラーニングシステムを支援している(株)トーマツ環境品質研究所による説明会であったが、ISO14001については漠然とした知識しかなく挑んだ。「ISOとは何か」から説明があり、概略を理解することはできた。しかし、説明会で ISOのすべてを理解することなど不可能であった。実際はその後のインターネットによる環境マネジメントシステム(EMS)構築のなかで多くを学ぶことになる。
 実務研修にあたり、ひな形をもとにした自社の法規制に関するチェックを行う。認証取得に際しての一番の問題点は法規制遵守である。事業規模や設備により各社様々な法規制による縛りが発生するわけだが、当社もこの点については一から勉強することになった。環境法令などを調べながら、ひとつ一つ自社の法令該当箇所をチェックする作業は困難を極めた。しかし、そのチェック作業自体は担当者、当社にとってこの上ない勉強の場となり財産となった。該当する様々な環境法令を検証することが当社の自信につながった。ISO14001認証取得は義務ではないが、取得していること自体が差別化につながり競争力と法令を遵守している企業であるとの裏付けになり、ひいては営業面でも大いに役立つと考えた。  

社員の教育も浸透
 また、「化学物質の安全データシート」(MSDS)の管理や「環境汚染物質排出移動登録」(PRTR)への対応確認の重要性も感じた。
 いわゆるPDCA「計画(Plan)、運用(Do)、点検・是正(Check)、見直し(Action)」についても、当社ではこれまで行ってきたことではあるが、それを文書化し、ネット上のルールに沿って保管する。そして、ネット上に保管されている環境活動記録などを予め審査するため、現場での審査時間・費用の低減につながる。
 
EMS構築を継続的に向上させ、環境に与える有害な負荷の減少を狙うことで、自ら定めた環境方針を経済的、技術的に可能な範囲で達成させることができると考えた。

■社員への浸透度

産業廃棄物処理への意思統一も図られた
 ISO14001認証取得は、結果的に大きな社員教育につながった。社員ひとり一人が目標に向けて努めるようになり、今まで漠然と行ってきたゴミの分別一つについても、細部に至るまで意思統一ができた。また、社員間のMSDSに関する認識も広まった。

■ISO14001認証を取得して思うこと
 ゴミの分別やミス、ロスの削減が廃棄物削減につながり、これら目標を追求すれば、環境配慮と業務改善が達成できる。リサイクル率アップやインキ缶・定着液・現像液のような産業廃棄物の適正処理、ワンプ、PS版など積極的なリサイクルも重要であり、結果、経費の面からも大きなメリットとなるだろう。
 今後、他の企業との付き合いを進めるにあたって、同じ認識を持つ取得企業と交流を深めたいと考えるようにもなった。

■これから取得を考えている企業へ

(株)光文社の受付に置かれているISO14001マネジメントシステム登録証
 取得までの道のりは厳しく、勉強もかなり必要であった。しかし、当社のような少人数の企業でも取り組みから4カ月という短い時間で取得できたのだから、経営者のやる気さえあれば達成できる。
 ネットワーク事業とはいえ、費用面が負担になるかもしれないが、取得後の経費削減や事業拡大が期待できる。地方では官公庁の引き合いも高いはず。全印工連の傘下組合員の一員として胸を張って商売をしてもらいたい。そのためにも、この機会を見逃さず、各企業でも取得事業に勇気をもって取り組んでもらいたい。

■取材をして  

屋上に設置してある排出口
 (株)光文社の本社ビル・工場はオフィス街に隣接しているが、環境に配慮したその建物構造は、内壁に吸音材、床面にも吸振材を貼り、その他、騒音・振動対策も万全。建物周辺の緑化対策にも力を入れている様子。
 オフセット印刷の過程で使用するIPA(イソプロビルアルコール)の処理についても、安全上の処理を施したうえで、ビル内に張り巡らされた排出ダクトを使用し処理されており、職場の環境管理とともに社会、地域住民への配慮が伺えた。



環境方針書

                              平成16年3月1日
(株)光文社
代表取締役 佐々木 毅

 当社は、クリーンな環境作りを大切にし、常に、社内での改善を努力し、また、積極的にリサイクル・省資源化に取り組み、今後の社会活動において貢献しています。
 
以下の5項目を当社の重要環境方針として遵守していきます。

  1. 当社が行う事業活動製品のうち、材料におけるインキ・用紙・製本糊等、及びその他材料に係わるものを、化学系から環境配慮製品に拡大し、環境に与える影響を把握し、環境保全・改善活動を推進する。
  2. 環境に関する法令、条例、及びその他の要求事項を遵守し、継続的に改善を図る。活動を実行、維持し全従業員が環境方針を理解するための教育・訓練を行う。
  3. 環境マネジメントシステムを構築し、目的及び目標を設定し、その有効性の継続的改善を図る。
  4. グリーン購入基準の促進と廃棄物のリサイクル化を推進する。
  5. 近隣住民への環境を考慮し、当社敷地外での清掃および当社敷地内での緑化を推進する。

機関紙「日本の印刷」5月号より転載

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