入賞作品

最優秀賞 (グランプリ)

作品名:「こおりやま ユニバーサルデザイン」パンフレット
株式会社日進堂印刷所(福島県) 
佐久間 信幸

〔工夫点〕

 UDについて考える「一般向け」「子ども向け」パンフレットを作成。併せて、UDキャラクター「こころころ」を創った。
●「一般向け」
 SPコードを付け、内容を音声で再生。
 大きく見やすい文字を使用し、色弱者にも
 見やすい色づかいを心がけた。イラスト・写真
 を多用。
●「子ども向け」
 イラストを多用。ドアノブの事例を導入とし、
 授業で使えるように構成。小学4年生以上
 で習う漢字にルビをふった。
●UDキャラクター「こころころ」
 市のキャッチフレーズ「心とこころ みんなで
 奏でる思いやり」を正十二面体で表現。2つ
 のハートで「心とこころ」を、10色の顔で
 「十人十色」を表している。

〔審査委員長講評〕

 UDへの各種の配慮を啓発する冊子資料であるが、単品でなく一般向けのパンフレット、子ども向けのパンフレット、市のキャラクターを利用したUD訴求グッズの3点からなる。一般向けパンフレットは豊富な事例写真でUDへの配慮を解説するとともに、文字の大きさやデザイン、見分けやすい色調などが細かく工夫され、SPコードによる音声再生機能もつけるなど、それ自体がUD配慮の教科書のようになっている。
 子ども向けパンフレットはストーリー性を持たせて問いかける内容で、授業で使いやすいように工夫されている。それぞれ単体でも同種の目的の他の応募作品よりも高いレベルである上に、大人から子どもまでを対象にした複合媒体を利用した唯一の作品であり、非常に完成度が高かった。

最優秀賞 (グランプリ)
作品名:子ども向けワークショップチラシのデザイン
岡山県立大学(岡山県) 
橋 宏明

〔工夫点〕

 岡山県総社市の商店街通りにて2009年9月に開催された、「れとろーど’09」という街おこしのイベントに出店した、子どもとその家族を対象としたワークショップ「ぞうぐらさん小学校」のチラシを制作した。
 「色の限定」、「アイコンの使用」、「文章」、「『表』と『裏』の差」の4つの点で、見る人にとって分かりやすいかどうかに注意し、情報の整理と簡略化を行った。同時に硬すぎず、親しみのあるデザインを目指した。

〔審査委員長講評〕

 商店街が企画したイベントで行われた子ども向けワークショップの告知チラシを題材にしたデザインである。小学校の入学パンフレットの体裁をモチーフに作ってあるが、目を惹く黄色を基調にしたオモテ面と分かりやすいアイコンを並べたウラ面がよく対比されている。
 見分けやすいように色数を少ない数に絞っているにもかかわらず、色を効果的に配置することで非常にカラフルな印象をかもしだしている。とぼけた印象のイラストも完成度が高い。
 全体として子どもの理解度によく配慮し、しかも子どもだからといって変にレベルを下げることもなく、情報を有効に使える工夫が隅々まで行われている。

優秀賞 (準グランプリ)
作品名:さいわいガイドマップ
株式会社武揚堂(東京都) 
三村 慎治

〔工夫点〕

 色の見分けがつきにくい方にも見やすいように配慮した地図を作成した。
 文字情報を重要度に応じて分類し、色の情報だけではなく大きさ、書体、記号などをうまく使い分けて読み取りやすいものにした。また、特に重要だと思われる市の施設や公共施設に関しては、文字の背景に白縁を入れることで背景色と同化しないよう心がけ、位置を示す指示点を大きくしてより明確に区別できるようにしている。

〔審査委員長講評〕

 一見ふつうの市街地図であるが、細かい部分が実によく工夫されており、非常に見分けやすくなっている。街区ごとの配色を派手すぎず、しかし差が分かりやすい色で塗り分け、文字は重要度に応じてサイズや書体を細かく分類し、適度な白フチで背景から浮きたたせるようにしている。
 地図のように多くの情報を盛り込む必要がある印刷物は、少しでも配慮を怠ると非常に見づらいものになってしまう。他の製品以上に細かい配慮が要求され、今後もさまざまな工夫や提案が期待される。

優秀賞 (準グランプリ)
作品名:防災パンフレット
株式会社長英(東京都) 
益永 貴広

〔工夫点〕

 作品を作る際、対策編の4つを分かりやすく区別することを考えながらデザインした。特に一番気をつけた点は、全体的なイメージが暗くならないように注意して、気軽に見ることのできるパンフレットを目指したことである。
 タイトルの文字は各章のテーマカラーに近づけて色分けし、小見出しとの差別化を図り、はっきりと読みやすくしている。本文はUDフォントを使い、文字詰めや行間はなるべく空けて文章を読みやすくするとともに、余白もできる限り多く取り、窮屈には感じられないようにしている。

〔審査委員長講評〕

 防災への備えを啓発するパンフレットであるが、恐怖感をあおりがちな内容にならず、明るい基調で親しみやすさと安心感を演出している。防災では重要な注意事項が多岐にわたるため、すべてを強調しようとする結果、ごちゃごちゃ見づらい冊子になってしまう危険が大きい。
 この作品では章ごとにテーマカラーを設けて文字色も連動させることで、項目ごとの違いを分かりやすくし、工夫されたデザインの分かりやすいイラスト等と相まって、実用性を高めている。

優秀賞 (準グランプリ)
作品名:MUDごみ分別カレンダー
株式会社明昌堂 新潟支社(新潟県)
デザイン課

〔工夫点〕

@従来のごみ分別カレンダー同様、ごみの種類別の色分けに加え、アイコンを添えた。
Aアイコンや文字色には、色弱者が判別しやすい配色を施した。
Bカレンダー周囲のデザインは、色弱者・健常者とも見て楽しく、美しいと感じる図案を配置した。

〔審査委員長講評〕

 これまでのコンペティションを通じて見やすいカレンダーの工夫はだいぶ定着してきた感があるが、さらに難易度の高い事例として、分別ゴミの回収日情報を組み合わせたカレンダーがある。
 いくつかの作品が応募されたが、この作品はゴミの種類を分かりやすい色調の色と、直感的に理解しやすいイラストを併用して大きく示し、遠くから見ても回収日のパターンがすぐ理解できるように工夫している。
 カレンダーの周囲には、対照的に細やかな色調のイラストを配して対比させているが、このイラストも濃淡や模様を上手に使って、どのような色覚の人にも美的に感じられるデザインを工夫している。

優秀賞 (準グランプリ)
作品名:椎津川・村田川 洪水ハザードマップ
カラーユニバーサルデザインエキスプレス(千葉県) 
小粥 将直

〔工夫点〕

 前回グランプリを受賞し、それをアピールしながら実際の仕事を受注した。クライアント(市役所)にも全幅の信頼をおいていただけたので、とてもスムーズに仕事が進んだ。
 色については、国交省が推奨しているものを使い、それをMUDに対応させていった。UDフォントは前回同様、積極的に使用した。


〔審査委員長講評〕

 前回のコンペティションでグランプリを獲得した制作者が、その成果をもとに実際に行政から受注して制作した作品である。コンペティションの優秀作がこのようにして実用に供されることは非常に喜ばしい。避難方向を矢印で示すなどの前回同様の工夫に加え、川の流れの方向を矢印で示すなど、さらに改良を加えている。
 また、前回は地図単体だったが、今回は解説パンフレットも作成され、その中の洪水水位のイラストなども配色やデザインなどに工夫して、非常に分かりやすいものになっている。


優秀賞 (準グランプリ)
作品名:Happy Schedule
岡山県立大学(岡山県)
高橋  愛

〔工夫点〕

 本作品は幼児・小学生を対象としたスケジュールボードである。ピクトグラムと文字で日程を表示するようにしたため、健常児はもちろん、聞き取りを苦手とすると言われる発達障がいが見られる子どもにも利用しやすい形を心がけて作成した。
各スケジュール用のピクトグラムの裏には動物のイラストを付け、終えた項目のピクトグラムを裏返すことで「終わり」を知らせられるとともに、子どもに達成感を与えられる仕組みにした。


〔審査委員長講評〕

 食事や買い物などのスケジュールと時計の布製のイラストパネルを、内蔵の磁石でボードに貼り付けて並べることで1日の予定表を作る、幼児や発達障がいの子どもも楽しく遊べるような教材である。済んだスケジュールのイラストパネルを裏返すと、動物のイラストが出てくる。1日が済めば、全部が動物に変わるわけである。
 実際に動かせる時計の針や、味わいのあるデザインの各イラストパネルのピクトグラムなど、子どもの興味を惹くように作られている。布で構成された作品は現時点の印刷技術では再現することも大量制作することも難しいが、ぜひチャレンジして実現させてみたいと思わせる作品である。


優秀賞 (準グランプリ)
作品名:MUD植物図鑑 やまぐちオリジナルユリ 〜プチシリーズ〜
山口芸術短期大学(山口県) 
濡田 亜矢

〔工夫点〕

 今回テーマにした「やまぐちオリジナルユリ 〜プチシリーズ〜」は、知識の無い人が見るとほとんど同じような植物に見えるが、知識の有無により異なる「ものの見え方」があることに着目し、新しいMUDの提案として知識のバリアの発生を防ぐ「植物図鑑」を制作した。
 具体的には、知識を補うものとしてピクトグラムを活用するとともに、図版が分かりやすいように3DCG(三次元コンピュータグラフィックス)を使用している。

〔審査委員長講評〕

 これで3回連続の優秀賞受賞となる山口芸術短期大学の作品である。一見ほとんど同じに見えるユリの花、葉、枝、根などの細かな品種ごとの違いをイラストで説明し、知識を持って見ることで初めて気づく違いというものに気づかせる。図鑑に使われている通常の写真や絵では、1枚1枚の構図が違うために植物の各部分のどこが同じでどこが違うかが往々にして分かりにくい。
 この作品では植物をすべて同じ形の三次元CGで構成することで、差のある部分だけがわかりやすくなっている。緻密な作業と色や形の美しさに加え、科学的な啓発内容も備えた意義深い作品である。。

 
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