入賞作品

最優秀賞 (一般の部)

作品名:MUD大阪アラっ?カルタ
株式会社ケーエスアイ(大阪府) 
MUDプロジェクトチーム

〔工夫点〕

 古来より庶民の遊びとして親しまれている「かるた」を題材に、大阪弁を使用して、大阪の良いところ、おもしろい特徴を紹介する『MUD大阪アラっ?カルタ』を作成しました。大阪人はもとより、他府県の人に大阪の楽しさを伝えることができるかるたです。さらにUDの観点から、海外の人にも遊んでいただけるよう、英語・中国語・韓国語を表記。表面に大阪弁と英語、裏面に中国語と韓国語を掲載、それぞれの言葉でかるた遊びが出来る上に、外国語の教材にもなります。形も判別しやすさを考慮してオリジナルの変形かるたにしました。配色はカラーユニバーサルデザインを配慮、また、各国の読み仮名も付けています。
 元気で明るい大阪のイメージにぴったりの『MUD大阪アラっ?カルタ』です。

〔審査委員長講評〕

 大阪独特の文化や名所を紹介するカルタ。日本語・中国語・韓国語・英語の4カ国語を盛り込み、大阪らしさを表す印象的な絵柄を入れるという困難を極める作業が要求されたと思われるが、それをクリアして、デザイン的にも多くの情報を小さなスペースに要領よくまとめている。また、カルタは四角いものという既成概念を破り、カードの角を丸や四角に突出させることで、そこに書かれた文字に直感的に目がいくようになっている点も見逃せない。

最優秀賞 (学生の部)
作品名:UD封筒
広告デザイン専門学校(愛知県) 
飛田  誠

〔工夫点〕

 封筒は老若男女に使用される。しかし、封筒はなかなか人を寄せつけない。封筒の宛名や住所を書く時に曲がったり、歪んだりして、なかなかバランスがとれない。結果、読みづらくなり、時には相手を不快な気持ちにさせるかもしれない。そこでUD封筒を作成した。
@ガイドがあるので字のバランスが整いやすい。
A濃淡だけでデザインしてあるので、どの世代の人でも抵抗なく使用できる。

 

〔審査委員長講評〕

 「封筒の宛名を書くときにどうしても行が曲がってしまう」という、小さなことだが多くの人が困っている問題を、デザインで解決した作品。よくあるように封筒に罫線を入れるのでは、見た目が事務的になって面白くないし、行の数や幅も制約されてしまう。淡いトーンで不規則な幅の平行な塗り分けを施すことで、一見すると罫線には全く見えないのに、実際には罫線を引いてあるのと同じ働きをさせている。身の回りの小さいが重要な問題をデザインの力で解決し、趣旨を理解していなくても自然にその効用を活用できる点で、ユニバーサルデザインの模範例になっている

優秀賞 (一般の部)
作品名:福島を訪れる海外からのお客様のためのおもてなしガイド

有限会社チャイナックス/株式会社進和クリエイティブセンター(福島県) 

〔工夫点〕

・ガイドブック、多言語おもてなしキット、CD−ROMで構成
・福島県内の旅館、ホテルに配布
・地元に密着した福島ならではの情報を提供
・ガイドブックは文字や配色、他文化への配慮などUDを意識した
・既に外国人を受け入れている旅館や日本在住の外国人の意見を反映
・多言語キットはすぐ使える内容をコピー可能な配色で作成
・CD−ROMには多言語キットを書き込み可能なPDFで提供

 

〔審査委員長講評〕

 海外観光客向けではなく、ホテルや旅館など海外観光客を受け入れる観光事業者向けの情報パンフレット。海外とひとまとめにせず、国ごとに異なる習慣や好み・タブーなどを分かりやすく説明している。さらに、多言語のピクトサイン・お風呂の入り方の説明・フロントでの会話帳など、旅行業の現場で不可欠なツールを提供し、しかもそれらは現場でコピーして使われることを想定して、コピーに適した色調で印刷されている。現場でのニーズを研究しぬいて作った、極めて実用性の高い作品になっている。この出品者は毎回あらゆる角度からメディア・ユニバーサルデザインの提案を行っているが、その全てがマンネリに陥らず、全く新しい発想から具体的課題を効果的に解決している点が、高く評価できる。

優秀賞 (一般の部)
作品名:2011 やさしいCalendar
瞬報社オフリン印刷株式会社(山口県) 
辻岡 優日

〔工夫点〕

 「伝える」
・カレンダーとしての基本的な情報は全ての人に公平に伝えられるよう工夫しています。
・曜日、祝祭日の差別化はマーク化することでハッキリと明確に伝えます。
・色情報は見る人によっては紛らわしくなることもあるため、あえて黒のみでデザイン。
・数字も大きめに配置してあります。

 「楽しむ」
・文字情報が黒のみで構成されているぶん、バックに色を配し12ヶ月を楽しめるように
しています。
・それぞれにはイラストを入れ、色情報が伝わらない方にも楽しめるようになっています。
・毎月「Shikitari」と題して、その時期の日本の風習などについて説明を入れています。

 「使う」
・家庭やオフィスで使いやすいよう、少しだけなら書き込むことも可能なスペースをとっています。
・手に取る、置くの動作が誰にとってもストレスのないことを意識した形となっています。
・月の更新はお子様、高齢者、目の不自由な方と、誰にとっても容易なめくるタイプにしています。

〔審査委員長講評〕

 点字表示を加えた卓上カレンダー。文字は黒一色とし、土日祭日もデザインの違いではっきりと表すことで、背景と大きなコントラストを確保し、白内障の人にとっても非常に配慮が行き届いている。一方、背景は淡い色調で月ごとに色を変えてシンプルな図案を入れることで、カラフルさを出す一方、余白へのメモ書きも可能な実用性を兼ね備えている。目が見えない人にはカレンダーを1ページずつめくることも容易ではないが、この作品ではタブを設け、タブの中にも月名の点字を入れることで、すぐに目的の月のページが開けるようになっている。細部にわたって細かい使いやすさの工夫が徹底された、高級旅館の女将のような「おもてなしの心」に満ちた作品である。

優秀賞 (一般の部)
作品名:水都大阪 さんぽみち
大阪シーリング印刷株式会社(大阪府) 
川本 直樹

〔工夫点〕

 水都大阪の水の豊かさを発見出来るデザインをコンセプトに作成しました。
・デザイン面
 デザインを面白く見せる為「大阪の水道水」の入ったペットボトルをベースにし、地図の川の部分を透明にして川を本物の大阪の水で表現しました。全体をレトロ調にし、中之島の建物の雰囲気に合わせました。

・MUD面
 全体の配色を色覚障がい者の方でも解りやすい配色にしました。切り取り部分を大きく解りやすく表示し、分別しやすくしました。また、
原材料、栄養成分表示欄を見やすいボーダー柄にしました。


〔審査委員長講評〕

 特定の地域だけで販売されるご当地飲料のパッケージの提案。地域の観光キャンペーンでは対象地域の案内図が不可欠であるが、観光案内所で配付されるような小型の地図はいつも手に持っているのも面倒だし、カバンにしまってしまうと必要なときに見つからなかったりして、意外に不便である。この提案は飲料のパッケージ自体を地図にしてしまうという斬新な提案で、地図を見やすく持ち歩けると共に、対象商品を手にとって眺めてもらう時間が増えることによって、商品の宣伝効果もある。水が流れるところを透明にして中の飲料を水に見立てているところも面白い。原材料表示に昨年同社が受賞したボーダー柄を取り入れるなど、ノウハウの活用にも熱心である。


優秀賞 (学生の部)
作品名:カンタンケータイの使い方
大阪コミュニケーションアート専門学校(大阪府)
江川 実奈子

〔工夫点〕

・高齢者の方でも見やすいように文字を大きくする。
・子どもにもわかるように漢字にはルビをふる。
・ボタンを拡大することによってわかりやすさを上げる。
・どこのボタンかを差し示すことによって場所を特定しやすくする。
・ハッキリとした色づかいで見やすく。


〔審査委員長講評〕

 簡単ケータイの本体と、その取扱説明書のデザイン提案。高機能化した携帯電話は、電子機器に慣れた人でも使いこなすのが難しい。使い方を簡便にした簡単ケータイも発売されているが、デザインの決定版はなかなかない。この携帯は、電源を直感的に入切が分かるスライドスイッチにしたり、ボタンの機能をアイコンでなく漢字で表記するなど、使いやすさを追求している。その上で、電話・メール・アドレス交換・写真など電話機を使う場面ごとに、手順を分かりやすく図示した説明書を作っている。この説明書は、文字や文章が読めなくても絵を見ることで視覚的に理解できるうえ、やりたい作業別に流れを追って押すべきボタンを示すという実用的な作りになっている。既存の携帯電話を作っている多くのメーカーに見習ってほしいものである。

優秀賞 (学生の部)
作品名:日本伝統の柄 千代紙のMUD化
大阪コミュニケーションアート専門学校(大阪府) 
西岡 侑姫

〔工夫点〕

・色覚障がい者や外国人に向けて、日本伝統の柄を知ってもらいたい。
・3種類の基本柄と日本の四季を表現した風物詩の柄を2種類、計5枚の千代紙をセットする。
・色よりも柄を楽しめるようにした。
・付属として、それぞれの風物詩の説明を添えることで、より日本の特徴を知ることができる。

〔審査委員長講評〕

 日本の伝統的なものの色合いというのは得てして淡いものが多く、はっきりとしたものが少ないが、この作品はさまざまな色の見え方の人や、色に関する感性が日本人と必ずしも同じではない外国人にも変わらず楽しめるように、色合いを際立たせて誰にでも楽しめる配色を用いる一方、色でなく柄や図案で日本らしさを出している。外国人向けに、描かれた図案についての説明もつけて、日本文化への理解を広める助けとしている。単に伝統工芸をそのまま伝えるだけでなく、こうした形で伝統を再定義して発展させてゆくのも現代のデザイナーの重要な役割だろう。

優秀賞 (学生の部)
作品名:MUD絵カード・ゲーム
大阪コミュニケーションアート専門学校(大阪府) 
LAM(リン) TSZ(チ) YING(ヨウ)

〔工夫点〕

・3才からの子どもに向けるため、言葉はすべてわかりやすく平仮名にしました。
・絵はなるべく一色で表されるものにしました。
・複数色がついてくる絵もあるため、色の名前の前にその色を付けた○を付けました。
・子どもが手になじむように、手書き風に仕上げました(自分が書いたものみたいと共感してもらったり)。

〔審査委員長講評〕

 「栗は茶色」、「山は緑色」など、ものの色名をゲーム感覚で覚える子ども向けのカード。幼稚園/保育園から小学校入学前後の子どもにとって、実物を見ないでものの色名を当てるのは楽しい遊びになると共に、色に関わる常識を養うのに有効である。しかしこのゲームのよいところは、そのような一般的な遊具としてのメリットだけではない。実は色弱の人は、一般の人と同じようには色の名前が区別できないため、ものを見てもそれが何色であるかを言えないことが少なくない。そのため、○○は××色、□□は△△色というように、ものの色名を知識として記憶する必要がある。このゲームは、色弱の子どもも自分がそうであることを意識せず、楽しみながら色を覚えることができる。色弱の子ども向けの特殊な商品でなく、一般向けのゲームでありながら色弱の子どもには特に便利なメリットを備えている商品の提案であるところが、ユニバーサルデザインとして優れている。ぜひ一般向け商品として売り出して欲しい。

 
 
 
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