共創ネットワーク・グループ事例


メディアフロンティアの活動について

是久昌信(株式会社メディアフロンティア)

 メディアフロンティアは「ビジネス・コラボレーション」をコンセプトに、印刷の新規受注を目的とした、営業ノウハウと設備の共有化をする印刷業界の共創ネットワークです。
 
組織としては2001年11月に三菱商事、NTTデータの2社を中心とした株主でスタートしました。その後2003年3月にその2社が退き、印刷会社の株主を中心とした新たな経営陣によって、事業を再スタートさせ、現在120社の会員企業によるネットワークを形成することができました。
 具体的な活動(サービス)としては、1.会員企業の交流会、勉強会の開催、2.研究会と販促ツールを掲載したホームページの運営、 3.会員企業の商品、サービスを展示する展示会の開催と大きく3つの活動を全国にて展開しています。

1.設立の背景

 これまで、業界には複数のネットワークが存在をしていましたが、2001年において新たにネットワークの形成を考えたのは、業界における「電子商取引」がそのきっかけでした。ヨーロッパでの業界の動向を見ますと、その時点ですでに、企業間での電子商取引が普及しており、工程管理、品質管理、見積り、受発注など多くの課題においてすでに改革が進んでいました。
 日本の状況でも、その頃から、クライアントである大手企業のIT化が急速に進み、見積り・発注においてすでに電子商取引が条件となる会社が現われ始めました。これらの状況がきっかけとなり「印刷関連業務のIT化に関するアンケート」をクライアント企業と印刷会社に向けて実施し、その結果、業界のIT化の為のネットワークを立ち上げる必要性を強く認識し、設立しました。

2.新たな経営陣による新体制

 メディアフロンティアは設立から1年4ヶ月は三菱商事、NTTデータ主導による経営を行ってきましたが、最終的には経営を退き、新たな経営陣による再出発となりました。再スタートにより、大きく変わった点は、中小の印刷会社の目線にたち、厳しい現実におかれている印刷会社のニーズに応えた、仕組み、サービスになったことです。そして現在では、新規受注のためのきめ細かな対応を行なっています。
 旧体制では「電子商取引推進」がキーワードとなり、インターネットの運営を中心に活動してきましたが、新体制からは「共創」をキーワードとしたデジタルとアナログの両面からの活動へとコンセプトを大きく変換しました。そのことによって、印刷会社が要望する、より身近なサービスを実行することとなりました。また、現在の厳しい市場環境において、IT化という武器は最大の武器であることには間違いありませんが、一方では、その現実を目の前にしての日々の受注活動があります。その両輪を1社で行なえる企業もありますが、ほとんどの企業がIT化まで手をかけていません。メディアフロンティアでは、そういった中小の仲間の企業が集まり、力を結集してこの課題を解決することが、使命であると考えています。

3.活動内容

<交流会の開催>

 会員企業のノウハウの共有と活用を目的に、毎月、交流会を開催しています。参加費用は無料で(但し食事代については実費を請求)業界の講師によるマーケティングの勉強会、会員企業による成功事例の発表、新商品などのPRを行なっています。
 この会のメリットは、受注のための最新情報が入手できることです。また、実際にサンプルや資料が展示してありますので、経営者と営業スタッフの方が一緒に参加されることにより、即、営業へと活用が可能になります。これまでの単なる勉強会ではなく、受注につながる実践会といった主旨で行なっています。
 現在、名古屋では毎月開催し、その他地域は隔月および不定期で開催しています。

<ホームページの運営>

 会員企業への受注ノウハウと販促ツールの紹介を目的とした、MFモールというホームページを運営しています。受注ノウハウについては、業界やアイテムごとにテーマを設定した研究会をホームページ上に開設し、新規開拓の切り口や、企画書、ツールなどを掲載しています。自社で調査、企画、制作する労力を考えるとこの研究会は自社の経営企画室、営業マーケティング室の役目を果たしていると言えます。
 また、販促ツールに関しては、会員企業のデータベース検索とツールの紹介をしており、営業マンがクライアントを定期訪問する際の情報としても効果的です。外注先を探す労力をはぶく、いわば自社の工務のアウトソーシングともなっています。

<展示会の開催>

 会員企業の商品、サービスを展示会にて紹介しています。印刷会社が自社の商品や技術をブースにてPRします。営業主体の会員にとっては、商材を増やす場として、製造主体の会社にとっては、自社の技術、設備をPRする場として活用しています。
 また、この展示会の効果として、会員企業のコラボレーションによって新商品が生まれたり、新しい販路が発掘されたりと、多くの成功事例が出てきています。今後はこの展示会をクライアント向けにも展開していきます。

4.会員・会費について

 会員は「共創」という理念を共有することを条件に、印刷会社、印刷関連企業の経営幹部と営業社員で、現在120社の加盟となっています。
 年に1〜2回の全国交流会および展示会と10ブロックに分かれた各都市での交流会および勉強会を開催します。各ブロックにはリーダー役として幹事企業がいます。(現在、関東・甲信越・東海・近畿・中国・四国が決定)
 会費は従業員数が50名以下の企業は月額1万円(税別)、150名以下の企業は月額2万円(税別)、151名以上の企業は月額3万円(税別)となっています。(2003年10月15日現在)

5.課題

 ネットワークが存続していく上で、いくつかの課題があげらますが、特に同業者が集まるネットワークでは、お互いの情報を提供しあうことによるシナジー効果が重要です。単に情報をもらうだけの参加者が増大してきますと会は停滞してしまいます。メディアフロンティアでは積極的に情報を出し合い、自らが業態変化を求める企業同士の交流を目指しています。
 
会員企業の印刷受注とIT化の両面を進化させる為には、いくつかの課題をクリアにする必要があります。まず1つは、営業マンの提案力強化です。この点については、今後TV会議システムを安価でつなぎ、出張をしないでセミナーに参加できる体制を築き、マーケティングについての理論と実践を行なっていく予定です。
 IT化につきましては、インターネット上で印刷物を編集・発注できるエンジンを提供し、まずは会員企業間での受発注を電子化へ、そして順次、クライアントへと進めていきます。メディアフロンティアの会員企業になることによって、自社のIT化、営業マン教育、新規受注といったあらゆる課題を解決することが可能になると考えています。

6.今後のビジョン

 今後のビジョンとしては、印刷業界のインキュベーターとなることです。会員各社の技術、設備、ノウハウ、商品、営業力についての情報を一箇所に集め、求められる市場のニーズを分析し、新たな商品、ビジネスを生み出していくことだと認識しています。市場が複雑化した現在においては、ある意味、1社が「一つの新事業」を立ち上げ成功させるよりも、ネットワークによる事業の構築が必要であり、また、その場合に力のある企業だけが集まれば上手く立ち上がるものではなく、中小の様々な、個々のノウハウを結集した集合体による「新たな産業」の立ち上げが成功の鍵であると確信しています。

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