共創ネットワーク・グループ事例


ISO9001認証グループ取得 6社揃ってゴールイン

東 澤 光 明(とうざわ印刷工芸株式会社)

1.はじめに

 ISO認証企業といえば、数年前までは、メジャー企業と取引のある企業か、社員数も多く組織もしっかりしている会社が取得するものであり、我々のような小規模の会社には縁の薄いものだという認識があった。
 そのような中で、富山県内の印刷業界では、朝日印刷、富山スガキ、タイヨーパッケージ、シルバー印刷など、我々に身近な同業者の方々が認証を受けたことで、ISOの必要性とその内容に関心を持つようになったのである。
 一方では、神奈川県工組の中小印刷業者が、四十数社で合同コンサルティングを受けて認証取得に成功した事、その参加企業の中には、社員十数人規模から百人超の企業が参加した事を知り、我々でも認証を受けることができるという意識が形成されたのだった。
 その間、ISOに関するセミナーに参加したり、先進認証企業の話を聞く事で合同認証取得の動きが活発になったのである。
 県工組の各社でも、ISOへの関心が高まり始めた事を受けて、昨年春の理事会で朝日理事長より合同認証取得へ向けて県工組も支援するという発言があり、動き始めたのである。

2.ISO認証を目指した根拠

 我々の業界を取り巻く状況は、他業種と同じく、十数年来続くデフレ不況に伴う価格低下による利益の減少、受注競争による更なる低価格受注の中で、右肩上がりの経済状況では許された物作りの姿勢を見直す時期に来ている。
 特に我々のような中小規模の会社は、一握りの幹部社員が指示を出し、細部に亘る決め事もなく、阿吽の呼吸で仕事を進めている部分が多かった。ロスやミスを出してもその真相を究明し、是正処置を明文化する事もなく過ごしてきた部分が多くあったのである。
 他社は別にしても、当社では主要部署に親族がいるため、社員はその指示に依存し、作業に対する責任感も希薄な部分が多く、自ら考え行動する意識が見られず、社員の意識改革をどうするかが常々悩みの種であった。そんな思いでいる時にISO9001の内容を知る事になり、社内改革のツールとして認証を目指す決意を固めたのである。

3.合同コンサルティング過程での社内変化

 合同認証取得を目指す事が確定し、希望する十数社が集まって説明会が開かれた。そのうちの6社(アヤト・北日本印刷・菅野印刷・第一共同印刷・富山フォーム印刷・とうざわ印刷工芸)が参加し、合同コンサルティングを受けることになったのである。
 各社とも、ISO9001の意義を少しでも多くの社員に知ってもらおうということで、受講者は毎回80名前後になり、真夏のキックオフという事もあり、印刷会館3階はクーラーの音と熱気でいっぱいであった。受講の回数が進むにつれて、未経験の講義内容に疑問と不安が続出し、幹部社員も、日常の仕事をこなしながらISOの勉強をしなければならないという事がストレスになったようである。
 我が社においても、品質管理責任者は副社長が担当し、ISO委員には課長、係長、主任を任命して推進していく中で、特に若い役職者が意外な力を発揮しながらリーダーシップを取り、マニュアル作りや手順書作りに取り組んでいく過程の中から、今まで少々頼りないと思っていた社員の力量を見直す良い機会になった。
 一方では、マニュアル作りや手順書作りの中で、個人目標が明確になって行くことが社員の自己啓発に大いに役立ったと思う。また、各種の不適合を追求していくことで、今までのずさんな物作りを反省する面が多くあり、認証を受けるという過程での各種のカルチャーショックは社員の意識改革に貢献したことは事実である。

4.コンサルティングを終えて

 昨年7月のキックオフ以来約半年を経過し、本年3月には、6社揃って認証を受けることができた。問題は、この貴重な経験を生かし、継続することであろう。
 特に審査前の1ヶ月間は、休日をつぶして研修会を開催したり、1日の仕事を終えて深夜におよぶミーティングを行ったりと、チームワークが今後の会社運営に大きな糧となることを期待している。
 6社共同でISO9001に取り組んだことは、他社との競争意識もあり、日々の業務をこなしながらも認証された原動力となり、各社の間のコミニュケーション形成にも大いに役立ったのではないかと思う。

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