共創ネットワーク・グループ事例


地域宅配生活情報誌ぷらざの生き方

全国ぷらざ協議会
事務務局長 五百旗頭忠男

「ぷらざ」の発刊

 マーケティングの視点から考えた、印刷物に対する費用対効果が間われている。「ぷらざ」を始めたのも、宅配情報誌、あるいはそれに付帯する事業をすることで、ハードコピーの需要落込みをカバーしていくことを狙ったことが原点となっている。最初に宮地敏昭氏が佐賀で発刊したのは18年前になる。今では、A4オールカラー、130〜140ぺージの体裁で、月刊、無料の宅配情報誌と言う形で広告料収入で成りたたせている。提案営業とよく言われるが、一個一個の提案を手掛けると非常に手間がかかる。単発の提案ではなく、一定の決まったフローの元に、顧客に恒常的に提案をして行く。これにより、新しい需要を組織的に取り込もうとしたのである。今では、大分、前橋、岐阜、宮崎、岡山、水戸、山口、帯広などで発刊されて、地域密着メディアとして一定の地位を築くまでになった。チラシは地方では地方新聞杜の独占になっていて、われわれ印刷人は媒体に対抗する力は非常に弱い。印刷人によるメディアの発行、これにより受注印刷企業から情報活用した情報化企業への脱皮をめざしている。

ターゲットは主婦層

 ぷらざを発刊する際、考えたのがチラシの置き換えを図りたい、特に主婦層にアピールするものと考えた。というのも、近年の主婦達はパートに出たり、ボランティアに携わったり在宅率が極端に落ち、家庭にいる主婦の在宅率は3割を切り、新聞の読視率が落ちている。当然、折り込みチラシの着目率、反応率も落ちてこよう。地方部の有力媒体・チラシ以上に効果のあるものにするには、チラシを中綴じにして保存性を高めるのが良いと着眼した。
 どこの都市でも市中心部の商店は地盤低下を起こしている。そこの対策として商店のリニューアルや複合化が進んでいるのだが、これを載せる適当なる宣伝媒体があるようでない。チラシは地方新聞社の独占になっていて高くつく。しかも、1紙だけでなく複数紙にも入れないと効果がでない。佐賀市の場合だと5紙に入れないと全所帯65,000戸に行渡らない。
 
他方、印刷会杜の悩みとして、どこに行っても過当競争に巻きこまれている。これから抜け出すために、新規開拓をしようにも別の印刷会社が既に入っているところに、割りこむのは至難の技であろう。しかも、印刷の営業は、見積積算ひとつを取ってみてもかなりの知識を求められ、素人の営業マンを立ててみても成功してくれない。これを、女性の戦力でなんとか印刷需要につなげることはできないかと考え、ならば、分かりやすく1ぺージ何円と値段を付ければよいのではないかとの結論につく。このページ売りの仕組みにするとその営業員は子育ての終わった主婦の方でこなせられるようになる。印刷と情報の融合化を図った企業体を作りつつ、地域密着のミニメディアの確立をこんな形で作り上げて行った。
 
ぷらざ誌の創設者は、オフ輪によるチラシ専業印刷から脱却を目指し、当時、高価なハイデルベルグの菊全枚葉機4色機を導入していた。しかし、思ったように仕事が集まらず、機械が回ってくれない。そこで、社長が自らクライアントのところを回ってみたところ、「印刷会社はすぐに、チラシを折り込め、しかも、できるだけ多地区に折りこめと言う。佐賀市内は65,00、5紙の新聞に折り込むと10万部の費用がかかってくる。紙代、印刷代、折り込み代すべて余分にかかるではないか、印刷会杜が宅配組織を作って配ればいいじゃないか。」と、ほとんどの顧客からこっぴどく言われた。そこで、一念発起して、宅配組織を作り「ぷらざ」を発刊するに至った。
 
行政に対しても強く当たれる。全戸に配布しているので、市の広報の一部を「ぷらざ」に使っていただくことは頻繁にある。また、2月とか8月とか閑散期に別冊を作る。「食のガイド」とか「宴会情報」との別刷ぷらざを全戸に無料配布する。すると地方出版の有料のガイドブックの分野を取り組むことができる。

FAX惰報サービス

 私どもが手掛けたものに、「FAX情報サービス」がある。これは、情報誌と自動応答のFAXを結びつけて個別情報を発信しようとするものだ。まず、情報誌にクライアントが1行とかの告知広告を掲載する。指定されたFAXセンター番号に読者がアクセスして情報を引き出すのである。消費者は、自宅のFAXで音声ガイダンスを聞きながら、ボタンで操作すると必要な情報が出てくる。この、FAX情報が2万ボックスが入っている。1ボックスにつき月額5000円でクライアントに貸与している。
 
我々は月刊誌であるがため、その時々の旬の情報を載せられない。しかし、この仕組みを使うと、住宅情報、中古車情報などが週間の雑誌と対抗できる。また、冬場のゲレンデ情報として積雪、混み具合などの日々情報を網羅している事例がある。
 
広告クライアントは、FAX情報センターにパスワードを使ってアクセスして、情報をこまめに更新できることだ。印刷会社が情報を更新しているわけではなく、いわば、無人で運営できるのがミソである。
 
その上、小口のクライアントを押さえることができる。学習塾やお茶、お花の先生が1ぺージ25万円の広告料は出しにくい。また、出すとしても市の北部とか一部分で十分である。こんな向きにFAX情報サービスが使われる。
 
行政がいろいろなサービスを行っているが、これを知らせる媒体が案外と少ない。地方部の行政はこのサービスを評価してくれる。このFAX情報サービスには毎号、300口も情報を掲載している。1口5000円につき、月額収入はで150万円になる。コンピューターが自動でやっているので、ほぼ無人で運営されている。
 
住宅情報誌が出版されているが、その印刷物の弱みは、誌面を制作して、印刷が上がるまでに時間がかかり、印刷物を店頭に置いたとき、物件が売れて、旬情報でないことが起きる。このジレンマを埋め合わすため、ぷらざ誌はFAX情報サービスと連動させている。1ボックスに1住宅情報物件が格納されていて、このBOXに、アクセスすることで詳しい物件情報が得られるし、成約済みの表示も出せる。

懸賞付き広告の目的

 ぷらざ誌の広告に懸賞をつけさせ、その応募は電話のプッシュ番号入力で行うように誘導している。電話を掛けてきた応募者に対し、抽選の前にいくつか質問に答えてもらうのだ。これにより、消費者の属性を明らかにできる。消費者の簡易な動向調査ができるのだ。ハガキで同じことをやった場合は、集計をしなくてはならない。この電話の場合は、コンピューターと連動しているので集計の手間が省けるのだ。PINという認識番号を商品や応募券につけると、応募者が特定しやすくなる。さらに、今かけている電話番号を入力させ、PINを入力させる。あるスーパーでは、抽選の間に本日のお買い得情報を流している。
 
この事例は、「TPS」を利用したものである。TPSのメリットとして宣伝販促の費用対効果増大、印刷物の価値を高める、差別化された強気の営業ができる、応募者リストの入手、24時間365日サービスである。

仲間を募ってぷらざ誌を発行

 水戸市では3年前に、印刷・製版会社の仲間が集まり、ぷらざ茨城を立ち上げた。互いの知恵と地縁を集め、新事業に立ち向かったため、割合早い機会に事業を採算ベースに載せることができている。以前よりデジタル印刷機の共同事業を立ち上げていた経験が土台となってくれている。同社は最近、チラシ宅配事業を始めた。市内を140地区に分割し、こまめな細分配布チラシの需要に応えることにした。ぷらざ誌の宅配精度は良好と言うのが売りで、しかも、宅配率は市の主要地区では100%となっていて新聞宅配よりははるかに広告反応が高いことが需要を引き寄せている。宅配精度を上げるには、ぷらざ誌と言う媒体があるがためで今後、この両輪が円滑の相乗効果を高めてくれるものと確信する。水戸ぷらざではバス会社との提携の話が進んできて単なる印刷事業だけでは得られなかった、幅広いビジネス遭遇・ビジネス機会に恵まれてきている。

ポイントカード事業

 佐賀ぷらざでは3年前から、市内270店舗を糾合した汎用ポイントカード事業を立ち上げている。個別のポイントカードでは消費者にとって、大変不便なもので、佐賀市を丸抱えにしたポイントカード事業へ進出した。これに使う器具(カードリーダー)、磁気カードの費用は加盟店には一切チャージしていない。そのかわりに、電子シール発行の親カードは13,00、100円につき、1ポイント(1円)がカードに刻印される。300ポイント溜まると磁気カードに住所・氏名を書くと、どの加盟店でも現金300円と交換してもらえる。市内270店舗も加盟しているのでラーメン1杯食べても刻印されるチャンスに恵まれ、その溜まり方はいたって早い。これが消費者に受ける。
 最近では地元の有名企業も、ハウスカードをやめ、このぷらざポイントカードに参加してくれるようになった。紙ベースと違い、消費者の個別認識ができ、しかも、デシル分析、ABC分析ができる。これらの支援サービスを佐賀ぷらざが請け負って行っている。
 
顧客との更なる密着は仕組みがなくして恒常的に図れない。ポイント購買、カードの精算のために営業マンがこまめに加盟店に出入りする。こんなことを通し、こまめな印刷需要を掘り起こしている。
 
我々のアプローチは生活者、消費者の視点に立ち、印刷物の掘起しを図ろうとしている。少々、回りくどいアプローチではあるが、このやり方を貫いてきたおかげで、着実な前進を重ねた事業運営をさせていただいている。

COPYRIGHT(C) 2001 全日本印刷工業組合連合会